当院のご紹介
  1. TOP
  2. フィリピンセブ医科大学 客員講師取得プログラム

フィリピンセブ医科大学 客員講師取得プログラム

客員講師取得プログラムでフィリピンのセブ島に行ってきました

2016年8月10日~14日、フィリピンのセブ医科大学の歯学部の学生に講演し、実技も教えるという客員講師取得プログラムでフィリピンのセブ島に行ってきました。
フィリピン・セブに行くのは今回で3度目です。
1回目は10年前に観光旅行で、2回目は5年前に海外歯科ボランティアで行きました。

1日目

5日間の日程でしたが、1日目はほぼ移動の日です。
宇都宮から成田まで約2時間、成田空港からセブ国際空港までフィリピン航空で飛行時間は約5時間、空港からホテル(ウォーターフロントセブシティホテル)まで約1時間でした。
時差はフィリピンが1時間早く、通貨はペソ、1ペソは約2.5円で、気温は27度前後で基本的にずっと夏ですが8月は雨季でスコールのような雨がザッと降ります。

セブ国際空港に到着したら、アイアンマン70.3フィリピン(私の趣味のトライアスロンの世界大会)が5日前に開催されていたということで、顔ハメ看板があったのでまずは記念撮影。街にもまだのぼりが残っていました。

その日はホテルに到着後、コーディネーターとスケジュールを確認して就寝。

2日目

2日目、海外研修に行った時は恒例としている、観光を兼ねた早朝ジョギングへ。この日は6時に起きてホテルから4km程の「道教寺院」という老子を奉ったお寺を見てきました。
朝食は物価の調査も兼ねてマクドナルドへ。だいたい日本の半額位でした。

そして朝8時にホテルのロビーに集合すると、なんと大学の同級生と偶然再会!4年振りに、しかもフィリピンで会うとは、It's a small world~世界はまるい ただひとつ♪
先輩と、同期の彼も含めて日本から6名の歯科医師が顔を揃えて、セブ医科大学(Cebu Doctors University、以下CDU)に向かいました。

この日はCDUの先生と学生に向けてまず参加者全員自己紹介を行ない、それから午前中は他の日本の先生の講演、午後は全員で学生実習でした。

午後の実習内容ですが、各先生ごとに異なり、私は得意なインプラント埋入の術式について、日本からインプラントのセット一式と模型を持参してレクチャーしました。
ちなみに私の英語力は英検3級なので同時通訳の方についてもらっていました(全先生に各1名ずつ通訳がつきます)。ただ医療英語は難しいので、2ヶ月前位から事前に打ち合わせしていたおかげで、無事に伝えることができたと思います。
他の先生は採血の練習、縫合の実習、根管治療やホワイトニング、顎関節症等を行なっていました。
CDUの学生は明るくて質問もどんどんしてくるので、教えている側の私の方が逆にとても勉強になりました。

なお、この日最大のピンチだったことはトイレです。
最初にCDUでトイレに入った時、便座と紙がないことに気づき、隣の個室も確認したらそこもなく、違うトイレに行ったらそこも便座と紙がありません。慌ててコーディネーターの所に行き聞くと、「ここは(便座と紙は)ないから」と言われて、心の中で(そういうことは先に言ってよ~!)と思いつつティッシュをもらい、再度トイレにダッシュ!間に合ったものの、今度はトイレ内にエアコンがなく、汗がボタボタと垂れてきてトイレ後には汗びっしょりで風呂上がりのような状態でした。明日は必ずトイレットペーパーを持参すると固く誓いました。
この日の食事はランチ、ディナーとも日本からの参加者、通訳、そしてCDUの先生方と一緒に食事をし、交友を深めました。

3日目

3日目、午前は私が講演しました。 内容は得意なインプラントの、上顎洞底挙上術(maxillary sinus floor augmentation)についてです。
こちらも2ヶ月前位から打ち合わせし、1度日本語で作ったスライドを英訳して発表できたおかげで、しっかりと伝えることができたと思います。

その後は昨日と同じく実習へ。レクチャーはこの日で終わりなので最後は学生達と記念撮影。

その後、客員講師認定証の授与式があり、無事に資格を取得出来ました。今後は講師として年に何回かCDUに行くことになります。

その後はセブ市内の歯科医院見学に行きました。
アジアで2番目に大きいという超大型ショッピングモール内の歯科医院で、オープンしたての新しくてきれいな、設備も充実した歯科医院でした。
また、そのショッピングモール内にスケートリンクがあったことには驚き、今後発展していく途上国の勢いを感じました。ちなみにアジアで1番大きいショッピングモールは同じフィリピンのマカオにあるそうです。

大学で講演でき、市内の歯科医院見学もでき、充実して良い1日だったと喜んだのも束の間、その後急に体調不良に見舞われました。
前日のトイレの件で学び、この日のトイレ事情は完璧にクリアできたのですが、やはりエアコンで寒い教室やショッピングモール、蒸し暑い廊下や外、汗ダクのトイレと寒暖の差が大きく体が参ったのだと思います。
残念ながらその日の夜手配していただいていたナイトクルーズはキャンセルし、1人ホテルの部屋で寝て過ごしました。

4日目

4日目、前日の体調不良も約10時間程寝たおかげでなんとか回復。
この日はCDUのプログラムはないので、セブでメジャーな観光の中の1つのアイランドホッピングに行きました。バンカーボートという船で点在する島をいくつか訪れる、というものでした。ただ残念ながら天気がイマイチでちょっとイメージと違いましたが、移動中も含めて色々と街中を見たり、参加されている先生方と情報交換できたりと有意義に過ごせました。

この日の夜は「ブードゥーファイト」というフィリピンの郷土料理をいただきました。元々は軍隊が発祥の料理で、簡単に言うと葉っぱをひいた上に色々な食べ物をドンとのせて皆で手づかみで食べるというものでした。最初は若干抵抗がありましたが、すぐに慣れてあっという間に頂きました。なおフィリピンに滞在中1番美味しかったのは、やはりマンゴーでした。

5日目

5日目、最終日も移動日でした。ただお盆期間中ということもあってなのかフィリピン航空の航空券が満席で取れず、帰りはセブパシフィック航空という、いわゆるLCCと言われる格安航空券で、しかも朝5時出発のチケットしか取れず、結果朝3時起きてホテルから空港に向かうスケジュールでした。おかげで飛行機の座席に座った瞬間に爆睡し、気付いたらあと1時間でもう日本着きます、という感じでしたが、無事に帰国出来ました。

今回のプログラムに私が参加した理由は、現地の大学にアプローチしていくことで途上国の歯科医療の発展に貢献できることと、それを継続していくことで将来良質な歯科医院が増え、結果的に貧しくても歯科医院にかかることができる人たちを増やしたいからです。以前海外歯科ボランティアに参加した時に強くそう思い、今回がその良い機会でした。現時点では歯科医院を受診できるのは富裕層のみで、学生もほとんど富裕層のお子さんだけだそうですが、長期的には母数が増える事で貧困層へも裾野が広がる事に期待しています。もちろん僕も以前参加した海外歯科ボランティア、いわゆるフリークリニックで貧困層の方へ今直接施術することもとても大事で緊急で必要な事ですし、加えて今回のような少しでもシステムを変えていける可能性のある大学へのアプローチというのも、両方とも重要な事だと考えています。

また今回最も印象的だったことは、途上国の勢いです。フィリピンの人口は2014年に1億人を超えたそうで、町中のいたるところに人が大勢いて、しかも子どもがとても多かったです。
今はまだスコールが降ると排水のインフラ整備ができてないため一時的に道路が冠水する巨大な水たまりができたり、道もガタガタで信号もあまりないので慢性的に渋滞気味だったりと、そういったインフラの整備や、貧富の差が激しいので治安の問題はあると思いますが、アジア最大のショッピングセンターができたり、投資物件が多く買われていたりと、少子高齢化でなんとなく閉塞感が漂う日本とは正反対の、もしくはイメージですがかつての高度経済成長期の日本のような、そんな活気とパワーにフィリピンは溢れていたと思います。
今回会ったフィリピン人の方たちはみんな明るくて生き生きとしていて、CDUでも授業の前に国歌や校歌をが流れて一体感や愛国心を感じました。実際にうつ病などの精神疾患も少ないそうです。今はまだあらゆる面で日本のほうが優れていると思いますが、言語(公用語が英語である事)と労働人口の観点からはおそらく20年後には立場が逆転していそうな気がします。
ただ常夏という気候もあってか国民性が日本人よりかなりアバウト(逆に日本より真面目な国は他にないとは思いますが)な事と、あと糖尿病患者は多いそうで、実際に食事に野菜が出てくることは少なく、基本的に肉と米と甘い飲み物なので、現地の人を見ても体型は一見やせてるようでお腹だけ出てるという人が多いと思いました。平均寿命も60歳位ということですが、途上国で生きていくために必要なカロリーを手軽に摂取するにはそういう食事が一番安くて現実的でもあるので、食生活の改善にはかなり時間を要すると思いました。

なお、3度目のフィリピン・セブですが、以前使わなかったお札を残しておいたものを今回持ってきたのですが、1年前位に通貨の絵柄が変わったらしく、古いお札は価値は一緒ですが銀行で変えないと街では使えないという事に文化の違いを感じました。そして今回もまた私の見た目から現地の人だと思われて空港でいきなりタガログ語(セブアノ語)で話しかけられたり、CDUの学生からは「フィリピン人のハーフじゃないの?」と聞かれるという、僕のフィリピンあるあるが炸裂しました(笑)。

海外研修に行くたびに、やっぱり日本は環境も食事も治安も言葉も、全てにおいて最高だなと感じます。なのでこれからもヨーロッパやアメリカ等の先進国での研修では最先端の知識、技術を学び、アジアの途上国では活力をもらい、両方とも経験していきながら、日本人でよかったと日本の良さを再確認していこうと思います。